2018年10月7日
帆布(はんぷ)とは、細い糸を何本か撚り合わせて平織りした厚手の布で、canvas(キャンバス)とも呼ばれています。歴史はかなり古く、紀元前3000年頃の古代エジプト、ナイル川を下る船の帆として使われた厚手で丈夫な布がそのルーツと言われています。
絵画のキャンバスとして使われるようになったのは、14世紀のルネッサンス期から。日本の帆布づくりは江戸末期からで、1785年に工楽松右衛門が開発したのもが第一号になります。
日本国内の帆布は、綿花の栽培、撚糸技術が盛んだった岡山県倉敷市で約7割が生産されており、この地域で作られた帆布を「倉敷帆布」と呼びます。
-倉敷帆布の歴史-
倉敷帆布のはじまりは、倉敷市曽原でもともと農業や行商をしていた武鑓石五郎のもとに、機織りの名手だった梅が嫁いだことがきっかけでした。
梅の手織りはすぐに地元、児島の木綿問屋で話題となり、男物の角帯の発注が殺到。東京や大阪の品評会にも出品され、次第に全国から高い評価が集まるようになります。2人は織機を増設し、近隣の女性たちに梅が指導を行いながら、1888年に厚物織りを得意とする「武鑓織布工場」を創業しました。
20世紀に入ると、手織りからいち早く動力(シャトル)織機に切り替え生産力をアップ。これにより地元でも抜きん出る製造元へと成長を遂げます。
-帆布のつくり方-
帆布は、平織りと呼ばれるタテ糸とヨコ糸を交互に通す単純な織り方が基本です。原糸から糸を合わせ、様々な工程、そして多くの人の手によって、高品質かつ高精度な帆布がつくられます。
①合糸(ごうし)・撚糸(ねんし)
まず、紡績(繊維を糸の状態にすること)された原糸を1本の糸にしていきます。これを合糸といい、このときに合わせる糸の本数で織り上げる帆布の厚さが決まります。合糸した糸は撚りをかけ、強度があり毛羽立ちにくい糸にしていきます。これが撚糸です。
②整経(せいけい)
糸の準備が整ったら、次は経糸(タテ糸)の準備をします。織機に経糸をセットするためには、織物設計に合わせて糸の本数、長さ、張力を整える必要があります。それらを整経機で整えながら、200~300本ずつ巨大なドラムに巻き取る作業が整経です。
③経通し(へとおし)
経通しは、「ドロッパー」「ヘルド」「筬(おさ)」と呼ばれる織機のパーツに、経糸を通していく作業工程です。これらのパーツは、織機が正常に作動するために必要な器具で、全て手作業で行われるとても根気のいる作業です。
④整織(せいしょく)
ここでやっと整織と呼ばれる生地を織り上げていく工程に入ります。シャトル織機に経糸をセットし、ヨコ糸をシャトルで通し織り上げます。1台の織機で1日(8時間)に織ることのできる生地は50~70mほど。限られた量しか織ることができません。
⑤流し検反(ながしけんたん)
織り上がった生地は50mごとにカットされ検反機へ。目視でキズや汚れをチェックします。流し検反でチェックされたキズは、手作業で修復し糸くずなどを払い落とします。こうしてできた帆布生地が生機(きばた)帆布です。 生機帆布は織り上げたままの状態のため、用途に合わせて色を染めたり糊加工や洗い加工を施します。
-帆布の厚さ-
帆布は綿を基本に、麻や化学繊維など多様な素材を使っていますが、織り方はすべて同じです。ただ、撚り合わせる糸の本数で厚さの異なる11段階の生地をつくることができます。帆布は号数で厚さを表しており数字が小さい方が厚い生地になります。
号数 | 経(タテ)糸撚り数 | 緯(ヨコ)糸より数 |
1号帆布 | 7本 | 8本 |
2号帆布 | 7本 | 7本 |
3号帆布 | 6本 | 6本 |
4号帆布 | 6本 | 5本 |
5号帆布 | 4本 | 5本 |
6号帆布 | 4本 | 4本 |
7号帆布 | 3本 | 4本 |
8号帆布 | 3本 | 3本 |
9号帆布 | 2本 | 3本 |
10号帆布 | 2本 | 2本 |
11号帆布 | 2本 | 1本 |
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-帆布の機能と用途-
シャトル織機で高密度に織りあげた強くで丈夫な帆布。
堅牢性以外に通気性、吸湿性、難燃性と多様な性質も持っています。こうした機能性と厚さのバリエーションによって、帆布はごく身近なさまざまなシーンで使われています。
倉敷帆布では、トートバッグ、リュックをはじめ、ステーショナリーやキッチン雑貨など様々なアイテムを取り揃えています。
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